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子どもが児童相談所に「連れていかれる」ときー市役所職員が語る、虐待と児童福祉についてー

  • 2月17日
  • 読了時間: 7分

更新日:5月18日

子どもが児童相談所に連れていかれるとき

「児童相談所に子どもを連れていかれる」


結構なパワーワードだと思います。実際、それはどんな場面で起こるのでしょうか。子どもはどうなるのでしょうか。そして、親はどんな思いをするのでしょうか。


今回は、市役所で児童福祉を担当しているおのともさんに、現場での日常のお話をお伺いしました。虐待通告の実態、一時保護の裏側、親子の葛藤、そして社会が抱える課題まで。長時間にわたるお話から見えてきたのは、何も特別なことではない、現状と地続きの“現実”でした。


今回は、そのリアルな話を記事にまとめました。ぜひ多くの方に読んでいただきたいです。


【目次】


  1. 児童相談所と市役所の役割の違い

  2. 「一時保護」とは何か

  3. 虐待の種類と「心理的虐待」の増加

  4. 児童相談所が介入する場面ってどんな時?

  5. 虐待の背景にあるものとは?

  6. 妊娠段階から始まる「特定妊婦」支援

  7. 支援が必要な子どもが増えている背景

  8. 読者へのメッセージ

  9. おわりに

  10. 安心して繋がれる、女性向けコミュニティ🚺


💡おのともさんについて

自身も不登校の過去を持ちながら、自治体職員として児童福祉行政に携わる2児のパパ。sorubis communityの支援者さまです。


1. 児童相談所と市役所の役割の違い


「市役所と児童相談所って、同じような仕事をしているの?」――そう思っている人も多いかもしれません。

実は役割は大きく違います。


  • 市役所:地域の保育園や学校から「あざがある子がいる」「泣き声が気になる」などの連絡を受け、家庭の状況を最初に確認する。

  • 児童相談所:子どもを強制的に「一時保護」できる唯一の権限を持つ。


市役所職員は“受け口”であり、緊急性が高ければ児童相談所に連携する役割。実際に子どもを保護できるのは児相だけで、市役所職員には強制力は無いのだそうです。


このように明確に役割が分かれていたとは。


2. 「一時保護」とは何か


「連れていかれる」という言葉がニュースで飛び交いますが、正しくは「一時保護」といいます。それは子どもを親から切り離すことが目的ではなく、命を守るための避難場所です。


  • 原則2か月以内の期間。

  • 多くは1〜2週間で判断され、家庭に戻るか、施設や里親に預けるかが決まる。

  • ただし施設や里親は不足しており、「戻さざるを得ない」ことも少なくない。


「保育園に迎えに行ったら、子どもがいない。代わりに職員が待っていて“お子さんは一時保護しました”と告げられる」――そんな場面も日常的にあります。親にとっては衝撃的ですが、子どもを守るための手段です。


3. 虐待の種類と「心理的虐待」の増加


虐待には大きく4つの種類があります。


  1. 身体的虐待:殴る・蹴るなどの暴力

  2. ネグレクト:食事や衣服を与えない、育児を放棄する

  3. 性的虐待:性的暴行やこどもにわいせつな行為をすることやさせること

  4. 心理的虐待:怒鳴る、夫婦喧嘩を子どもの前で繰り返す



今、最も増えているのは心理的虐待です。

例えば「毎晩夫婦喧嘩の声が響き渡る」「父親が母親に暴力を振るう姿を子どもが見ている」――これも虐待とみなされます。


4. 児童相談所が介入する場面ってどんな時?


■ 半数以上が「警察通告」


児童相談所に通告が入る経路で、半数以上を占めるのが警察です。

おのともさんいわく、夫婦喧嘩に警察を呼ぶ人が増えているのだそうです。警察が駆けつけ、子どもの前で喧嘩していたと確認すると、“心理的虐待の可能性あり”と児童相談所に連絡が入ることが多いのだとか。


これは意外な話でした。夫婦喧嘩も程度の差はあると思いますが、多くの家庭で起こっている印象でしたので。。

しかし、夫婦喧嘩を見て育った子どもは恐怖や不安を感じ、精神的・肉体的な悪影響を受ける可能性があることも分かっていますし、放っておくことはできませんよね。


■ 「帰りたくない」という子どもの声


もうひとつ、保護のきっかけになるのは子ども自身の声です。


例えあざなど見た目の様子が軽かったとしても、“帰りたくない”と子どもが言っている場合は保護せざるを得ないそうです。


親の前では言えなくても、保育園や学校で先生に打ち明ける子がいます。その小さな声をどう受け止めるか――現場では日々、難しい判断が迫られています。


■ 保護後の行き先と「戻される現実」


一時保護のあと、子どもはどうなるのでしょうか。


  • 理想:施設や里親に預ける。

  • 現実:受け入れ先が不足し、多くは家庭に戻る。


戻す際には、市役所が「家庭訪問を増やす」「ヘルパーを導入する」などの支援を整えます。しかし、虐待が再発するリスクは残ります。


守りたいけれど、行き先がないというのが現状です。子どもを家庭に戻さざるを得ない。それは、職員としてもとてもつらいことです。


5. 虐待の背景にあるものとは?


■ 親のストレスと家庭のパワーバランス


虐待の背景に必ずあるのは親のストレスです。


  • シングル家庭で孤立して育児を抱える母親

  • 「夫は自由に働いているのに、自分は家に縛られている」と感じる母親

  • 家事も育児も担う父親が、パートナーのメンタル不調で疲弊するケース など


「子育てにイライラする」ことは異常ではありません。むしろ「大変」と感じられるのは、子どもと向き合っている証拠です。本当にネグレクトする親は「子育てが大変」という感覚すら持ちません。保育園に預けようともしない。旅行や交際を優先し、子どもを放置する――ニュースで見る“置き去り事件”はその典型です。


子育てに疲れているおかあさん
イライラしても、完璧じゃなくても自分を責めないで。子どもとしっかり向き合っている証拠です。

■ 子どもの死因で最も多いのは「心中」


「虐待死」という言葉からは、殴られて命を落とすイメージが強いかもしれません。しかし実際に最も多いのは「心中」なのだそうです。

産後うつや孤立した育児の中で、「子どもを残せない」と思い詰めてしまう。誰も救われない、最も悲しい結末です。


6. 妊娠段階から始まる「特定妊婦」支援


市役所は、妊娠届を出す段階からリスクを把握します。


  • 喫煙歴、精神疾患、パートナー不在などを点数化。

  • 高得点の妊婦は「特定妊婦」として要支援に。


昔は稀だった高得点ケースが、今は珍しくないのだそうです。妊娠の時点から、出産後に虐待してしまう可能性があるかもしれないと思われる人が増えているんです。


虐待の背景にあるのは親のストレスなどが原因だとお伝えしたように、ストレスが高くなりそうな家庭には最初から注意を払っているのだそうです。


7. 支援が必要な子どもが増えている背景


■ 増える発達障害と放課後デイ


子どもの数は減っているのに、支援が必要な子は増えています。

  • 発達障害やグレーゾーンの子が目立つようになった。

  • 学童だけでなく「放課後等デイサービス」を利用する子が急増。

昔からいたけれど、名前がついて見える化された部分もあるみたいで。発達の問題も、今の社会の課題と深くつながっています。


■ 各家族化と孤立育児のリスク


子育てって本当に大変だと思うんです。人間は本来、群れで子育てをする生き物ですよね。しかし現代は各家族化が進み、祖父母や近所の目が届きにくくなっています。もともとは家族みんな、地域のみんなで子育てしていたのに、今はそれができないことは課題だなと思います。


孤立した育児は虐待リスクを高め、子どもの発達にも影響します。社会が“群れ”を失った結果が現れているのかもしれません。


8. 読者へのメッセージ


子育てをしていると、イライラすることもあるでしょう。「つい手をあげそうになった」と自己嫌悪する親もいるかもしれません。


でも、それは決して異常ではありません。

大変だと思えるのは、子どもと向き合っている証拠です。


ただし、そのしんどさを一人で抱え込む必要はありません

児童相談所、市役所、保育園の先生――相談できる場所は必ずあります。


相談の様子


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