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【イベントレポート】心が固まるその前に。前田佳宏先生と学ぶ『トラウマの仕組み』と身体の整え方〜出版記念:『泣きたくなったら壁を押せ!』オンラインセミナー〜

  • 6 日前
  • 読了時間: 9分

2026年6月3日 作成


青い髪の泣く人物のイラストと、白地に「泣きたくなったら壁を押せ」「トラウマ治療を擬似体験するメンタルセラピー小説」とある本の表紙ポスター。

2026年6月2日、精神科医・前田佳宏氏の書籍『泣きたくなったら壁を押せ!』の出版を記念し、株式会社ソルビス主催により「心が固まるその前に。前田佳宏先生と学ぶ『トラウマの仕組み』と身体の整え方」オンラインセミナーを開催いたしました!


前田先生は、東大病院での心理療法や、国立精神・神経医療研究センターでのトラウマ認知行動療法グループへの参加など、豊富な専門的経歴を持つ精神科医です。


本セミナーは、人間関係や日常生活で感じる生きづらさや疲弊感を、単なる「弱さ」や「性格」として片付けるのではなく、身体が危険から身を守るために起こしている「トラウマ反応」として捉え直し、その具体的な対処法を学ぶことを目的とし、前田先生に解説いただきました。本記事ではそのレポートを惜しみなく公開いたします!📝


【目次】

  1. トラウマの基礎知識:なぜ「心」ではなく「体」で捉えるのか

    • トラウマは誰もが持つ普遍的な反応

    • トラウマ反応としての「侵入体験」とPTSD症状

  2. トラウマのメカニズムを理解するための3つのポイント

    • トリガー(引き金)に気づく

    • トラウマ反応の4つのタイプを認識する

    • バウンダリー(境界線)を取り戻す

  3. 身体感覚を活用した実践ワークショップ

    • 反応観察ミニシート

    • 壁押しワーク(バウンダリーの再学習)

  4. Q&Aハイライト:実践知と具体的な対処法1

    • Q1. トラウマ対象への強い怒りへの対処法

    • 2Q. 複雑性PTSDへの対処法

  5. 結び:トラウマ反応は「弱さ」ではない


1. トラウマの基礎知識:なぜ「心」ではなく「体」で捉えるのか


前田先生は、多くの人が抱える人間関係のしんどさは自分が弱いからではなく、心理的な反応として起きている可能性を指摘し、この反応の仕組みを理解することが大切であると解説されました。


■ トラウマは誰もが持つ普遍的な反応


トラウマというと、強い衝撃的な大事件が原因というイメージがありますが、実際には本人が気づかないような「小さいこと」でも発生します。理不尽な状況や、思い通りにいかない経験があれば誰にでも起こり得るものであり、些細な騒音などが原因で体が過敏になる状態は「マイクロトラウマ」として捉えることもできます。


左に「トラウマは、いろんな形で潜んでる」などの日本語文章、右に線画の人物が歩く白黒イラスト。落ち着いた雰囲気

一方で、いじめのような深刻な状況でも、ちゃんと守ってくれる人がいた場合はトラウマ反応が出ない場合もあります。トラウマの治療や予防において重要なのは、最終的に「自分は大丈夫だ」と再学習することです。現在進行形でしんどい目に遭っている場合は、まず物理的に守る、距離を置くなど、「自分をどう守るか」を最優先することが大事だと助言されました。


■ トラウマ反応としての「侵入体験」とPTSD症状


トラウマの記憶は、過去の出来事を思い出すフラッシュバックだけでなく、様々な「侵入体験」として現れます。

特定の人や状況を見た時に、記憶とは関係なく「胸が苦しくなる」、「頭が真っ白になって言葉が出てこなくなる」、「楽しんでいるはずなのにひどく疲れる」、「自分を責め続けてしまう」。これらは、体が過去の危険なパターンを学習し、無意識のうちに侵入してくる反応です。

また、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の主な症状は、身体が危険から身を守るための条件反射的な反応であり、以下の4つに分類されます。


PTSDの主な症状

侵入体験

出来事を追い出したくても蘇ってしまう、悪夢を見る。

回避

交通事故の現場など、危険を感じた場所や状況を避けるようになる。

過覚醒

常に警戒状態にあり、車の音などで目が覚めてしまったり、寝ていられない状態。

認知や気分の変化

「自分が悪い」と感じるようになるなど、失敗があると自分を責めがちになる。


2. トラウマのメカニズムを理解するための3つのポイント


トラウマの仕組みを理解し、対処法を実践するために、前田先生は「トリガー」「トラウマ反応の4タイプ」「バウンダリー」の3つのポイントを解説しました。


■ トリガー(引き金)に気づく


トラウマ反応を引き起こすきっかけとなるのが「トリガー」です。特に、書籍『泣きたくなったら壁を押せ!』の登場人物たちのように、人間関係のトラウマは非常に多く、それが行きづらさの主要因となります。


  • 人間関係のトリガー: 相手の「声のトーン」、「表情」、やり取りの場面での「沈黙」、声が大きいことなどが無意識の引き金となることがあります。

  • 意外なトリガーとしての「季節」: 過去に嫌な出来事があった時期や、退職した時と同じ「季節」が近づくと、そわそわしたりしんどくなったりすることがあります。これは体が「また嫌なことが起きるかもしれない」と感じてしまうためであり、自律神経の症状(下痢、頭痛、不眠、焦燥感)として現れやすいと指摘されました。


■ トラウマ反応の4つのタイプを認識する


トラウマが起きた後の反応は、体が危険を察知し、それに対処しようとする行動パターンとして以下の4つに分けられます。

反応タイプ

説明・例

抗う (戦う・威嚇する)

自分を守るために怒りっぽくなり、威嚇しようとする。

例:ルールを守らない人を見ると強く怒りが出てきてしまう。

距離を取る (回避する)

嫌な人や展開を避けようとし、関わる場所に行きたくなくなる。

「むしろ一人のほうが楽」「面倒くさい」といった感情や行動につながる。

固まる (フリーズ)

頭が真っ白になり、動けなくなったり、頭が回らなくなってうまく話せなくなったりする。涙が出る反応も、身動きが取れない「固まる」反応の可能性があると助言されました。

合わせる (適応する)

人間社会で多く見られる反応で、相手に合わせることで、怖い目やしんどい目に遭うことを避けようとする。

例:本当は謝らなくていい場面でも「ごめんなさい」と先に言ってしまったり、自分の気持ちを抑えて相手の出方や顔色を伺ったりする。


先生は、これらのパターンはすべて「自分を守ってくれている存在」として捉え、否定せず理解することが重要だと解説しました。


■ バウンダリー(境界線)を取り戻す


トラウマとは、本来守られるべき「自分はここまでやって欲しい」「自分はここまでできる」という境界線(バウンダリー)が他者に侵食されてしまう体験です。


バウンダリーがうまく引けていない状態では、相手の機嫌を背負ってしまう、頼み事を断れない、自分が我慢すればうまくいくと考えてしまいがちです。この状態が続くと、自分の気持ちがわからなくなったり、「自分の考えを持っていてはいけない」と自分自身で制限をかけてしまったりすることに繋がります。


バウンダリーを取り戻すことは、言えなかったことやできなかったことを悔やむのではなく、「ちゃんと自分を大事にしていいんだ」ということを思い出していくことです。


3. 身体感覚を活用した実践ワークショップ


セミナーでは、このトラウマ反応の理解を深め、バウンダリーを取り戻すための2つのワークショップが実施されました。


■ 反応観察ミニシート


自分のトラウマ反応のパターンに気づくためのワークです。無理に深い記憶を扱わず、日常の軽い出来事を練習として用いることが推奨されました。参加者は以下の3つの要素を書き出す作業を行いました。


  1. 起きた状況

  2. 自分の反応(4つのタイプに分類)

  3. 反応に一言(自分を労う、優しい共感の言葉)


例として、SNSで既読がついても返信がない状況に対し、「焦って頭が真っ白になる(固まる反応)」が起きた場合、その反応に「どうしたらいいかわからなくて焦ってしまうよね」と共感の言葉をかけることで、反応を緩める練習をします。


■ 壁押しワーク(バウンダリーの再学習)


バウンダリーを取り戻すための、身体を使った具体的なアプローチです。トラウマ反応は過去の出来事に対して体が今も反応し続けている状態のため、このワークを通じて「もう終わったことなんだよ」「もう大丈夫なんだよ」ということを体に分かってもらうことが目的です。


壁を押す人の線画と、右側に「壁押しワーク」「押し返す感覚」「本当はNOと言いたかった」などの説明文がある案内画像

【実践手順】

  1. 壁に両手を当てるか、押しやすい体勢(肘などを使っても良い)をとります。

  2. 足の裏を床につけ、ゆっくりと壁を押します。

  3. その際、「嫌だ」「入ってこないで」「あっち行け」という、自分の領域の外側に出て行って欲しいという気持ちや体の感覚を感じ、それを表現するように力を込めます。

  4. 30秒から2分程度行い、その後、やりきった感覚、出し切った感覚、呼吸、胸の緊張感、足の裏の感覚などの体の変化を感じ取ります。


このワークによって、体は「こういう感覚を持っていいんだ」と新しく学習し、強い感情を緩めていくのに役立つと説明されました。


4. Q&Aハイライト:実践知と具体的な対処法


質疑応答の時間には、事前および当日寄せられた多岐にわたる質問に対し、前田先生が具体的に回答しました。


Q1. トラウマ対象への強い怒りへの対処法


トラウマ対象を見たときに強い怒りを感じ、偏見なく相手を見れないことへの対処法が問われました。前田先生は、この怒りは「過去から来ている過剰な反応」であるとし、この怒りを「出し切る」ことが重要だと述べました。


身体のアプローチ 怒りの感情を中途半端に抑えると、「これを出さなきゃいけないものだ」と体が認識してしまうため、壁押しワークなどを使って、過去の自分がやりたかったことや感覚を思い出しながら、安全な方法で怒りを出し切るプロセスを勧めています。

Q2. 複雑性PTSDへの対処法


複雑性PTSDを持つ参加者からの対処法に関する質問に対し、前田先生は壁押しワークのような「身体の感覚のアプローチ」は感情反応を緩ませる上で有効であるとした上で、さらに3つの視点が重要だと強調しました。


3つの重要な視点 ✔身体感覚:体にある感情反応を緩ませること。 ✔考え方:相手に引っ張られるのではなく、ちゃんと自分を守れるような考え方をすること。 ✔人間関係:自分がバウンダリーを引けるような関係性を築くこと。

これらの手法は書籍にもヒントが散りばめられており、また7月から開始予定の「3ヶ月実践プログラム」でも深く学べるという案内がありました。


5. 結び:トラウマ反応は「弱さ」ではない


最後に前田先生は、トラウマ反応は「弱さではなく、自分を守るための反応かもしれない」という視点を持つこと、そして「トリガーに気づき、反応タイプを見つけ、バウンダリーを取り戻していく」というステップが大切であることを改めて強調しました。

また、前田先生の公式LINEでは、今回のセミナーで使用した「反応観察ミニシート」が利用可能であり、7月からは人間関係で消耗しないための反応緩和とバウンダリー設定に焦点を当てた「実践プログラム」が開始される予定とのことです!



白地の告知ポスター。左に説明文とLINEのQRコード、右に涙を流す青髪の少女のイラストと大きな日本語タイトル文字。

\第2回イベント予告/


今回の出版記念イベントは2部構成で計画されており、第2回は9月頃に開催予定です!トラウマの基礎知識からさらに発展させ、「人間関係や組織の中で、トラウマへの対応をどう活かしていくか」というテーマで解説いたします。


ぜひ情報公開を楽しみにお待ちください!



 
 
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