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最新のハラスメント研修内容、解説いたします

更新日:8月17日


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セクシュアルハラスメント(セクハラ)や性加害は、職場の環境を悪化させ、働く人々の安全や信頼関係を損なう深刻な問題です。昨今メディア業界を中心としたセクシャルハラスメントへの対応への批判は、尾を引き当該企業への批判は高まる結果となりました。こうした社会的動向を受け、企業のコンプライアンスやガバナンスの重要性がより高まっているのではないでしょうか。本記事では、セクハラ・性加害防止研修の内容とその実践方法について解説します。

【目次】

  1. なぜセクハラ・性加害防止が重要なのか?

  2. 具体的な研修内容

    • (1)基礎的なセクハラ・性加害の定義と法的視点の認知

    • (2)具体的な事例の提示とディスカッション

      • 💡ポイント①:クリティカルマスを知った上でのディスカッションを

      • 💡ポイント②:セカンドレイプを起こさせない

    • (3)その他、ハラスメント対策に効果的な取り組み

      • アクティブ・バイスタンダー研修

      • 相談窓口の設置・活用促進

      • 管理職への教育強化

      • ERG(従業員リソースグループ)の導入

  3. まとめ


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1. なぜセクハラ・性加害防止が重要なのか?


セクハラや性加害は「魂の殺人」と言われています。企業の信用失墜や法的リスクを招く可能性があるだけでなく、被害者の精神的負担はかなり大きなものとなり、その後の人生を左右するほどの大きく傷つけるような行為です。


性暴力はもちろん、不本意な身体の接触、性的な言葉を投げかけ、容姿を揶揄するような発言もセクハラにあたります。身体的な接触を伴わないセクハラも、被害者にとっては大きなトラウマを残してしまう可能性があります。セクハラを受けた人の7割以上が、その後も長く苦しめられているというデータもあります。


一方で、ハラスメントがなくかつ心理的安全性の高い職場環境は、生産性向上や従業員満足度の向上にも寄与します。企業の責任として、今一度、適切な対策と教育が求められています。



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2. 具体的な研修内容


(1)基礎的なセクハラ・性加害の定義と法的視点の認知

初期の取り組みとして、セクハラに関する基礎的な知識を社内に周知し浸透することが非常に重要です。

  • セクハラの種類

    • 対価型セクハラ:昇進・給与・雇用継続などを条件に、不適切な行為を要求するものを「対価型セクハラ」と呼びます。対価型セクハラは評価者や権力がある上司や権力者から部下に行われるケースがほとんどです。上司が「デートに応じてくれたら昇進・昇格をさせる」と持ちかけたり、逆に性的な要求を拒否したために、評価を下げられたり給与を落とすといったネガティブ評価を与えることもこのセクハラに当たります。明示的な要求だけでなく、暗示的な示唆や圧力も含まれます。

    • 環境型セクハラ:職場の雰囲気や発言が性的に不快で、労働環境を悪化させるものを「環境型セクハラ」と呼びます。例えば職場に露出の高いポスターを掲示したり、アダルトコンテンツが誰の目にも入るような場所におく、スクリーンセーバーに設定するような物理的なことから、意に反する身体的接触も環境型セクハラに当たります。上司が部下に「頑張ったね」と肩を叩いたり、頭をポンポンと撫でるような行為もこれにあたります。さらに「男なのに、子供を迎えにいくのか」「女のくせに、こんなに残業してもいいの」「結婚する予定はあるのか」「スタイルがいい、かわいいね」と言った相手の意に沿わぬ業務に関係のない性的な内容やジェンダー規範を押し付けるような内容も環境型セクハラに当たります。


  • 企業の法的責任

    • 事業主は、労働基準法や男女雇用機会均等法に基づき、セクハラ防止措置を講じる必要があります。

    • 企業が適切な措置を取らない場合は、被害者は、会社や加害者に対して損害賠償請求が可能になることがあります。


  • 無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)の影響:

    • 加害者は「軽い冗談」のつもりが相手にとっては不快に感じると、ハラスメントになるケースもあります。

    • 性別による役割分担の固定観念を発言したケースも、本人は悪意がなかったとしても、「環境型セクハラ」に当たります。


      アンコシャス・バイアスに関する詳細はこちら>


(2)具体的な事例の提示とディスカッション

  • 職場におけるセクハラ事例を紹介するなどし、具体的に何がセクハラになりうるのか、共通認識を持ちましょう。以下は、典型的なハラスメントの例です。


    • 飲み会での不適切な発言:例)「女性は若い方がいいよね」「男ならもっと積極的にいかないと」「彼氏・彼女いるの?」「女性は華があっていいね」

    • 上司によるボディタッチや不必要な距離の近さ:例)肩を揉む、腰に手を当てるなどのカラダに触れる行為、パーソナルスペース(仕事仲間との程よい距離感は1.2m~3.5m)内に入るセクハラです

    • リモートワーク環境でのプライベートなチャットやビデオ通話中の不適切な言動:例)「カメラをオンにして顔を見せて」「私生活についてもっと教えて」

    • 会議で女性の意見を軽視する:例)「女性は感情的になりがちだから」

    • 性的役割分担の偏見に基づく発言:例)「男性なんだから稼ぎ手になって頑張らないと」「女性だからお茶汲みをして」


  • グループディスカッションなど、当事者意識を持ちみんなで考える場を設けましょう

    • どのように対応できるか?

    • 被害者・加害者・傍観者の視点から考える。


💡ポイント①:クリティカルマスを知った上でのディスカッションを

”クリティカルマス”とは、ある結果を得るのに最低限必要な数を指す言葉です。組織の中で「クリティカルマス」は3割とわかっており、マイノリティが3割を超えたときに、主張が尊重されるようになると言われています。女性の意見を軽視する背景にこのような原因が隠れていることを知り、たとえ女性1人の意見であっても、尊重して聞き入れる体制を作る必要があります。


💡ポイント②:セカンドレイプを起こさせない

セカンドレイプとは、二次被害とも呼ばれ、被害者が被害後に第三者から受ける言動によって更に傷つけられる被害を指します。被害を知った第三者による、被害者の落ち度を指摘したり被害を矮小化したりするような発言によって、被害者は助けを求めることに抵抗を覚えるようになってしまいます。被害者を責めるような発言をせず、被害者の意思や行動を尊重するようにしましょう。

(セカンドレイプの例)

  • 被害当時の服装や飲酒量、被害者がいた状況を指摘し、被害者に落ち度があったと思わせること。例:「お酒に酔っ払った方が悪い」「短いスカートを吐いていたから無防備だった」

  • 抵抗の有無を問い、なぜ抵抗しなかったのかと聞くこと

  • この程度で済んでよかった、早く忘れた方がいい、といった発言をすること


(3)その他、ハラスメント対策に効果的な取り組み


  • アクティブ・バイスタンダー研修 アクティブ・バイスタンダー (行動する傍観者)とは、ハラスメントやさまざまな暴力や差別が起きたとき、 その場に居合わせた第三者が被害を軽減するために行動をする人のことを言います。例えば、注意をそらす、第三者に助けを求める、証拠を残す、寄り添う、直接介入する、などの方法で、当事者でなくともその場に居合わせた第三者がどのように行動すべきか、知っておくことはとても重要です。ハラスメント対策のカギを握るのは第三者でもあります。


    アクティブ・バイスタンダーに関する詳細はこちら>


  • 相談窓口の設置・活用促進 相談窓口は社内、社外の選択肢があります。社内相談窓口は、「迅速な対応」「社内事情を理解した的確な助言」「対策の講じやすさ」などでメリットもありますが、「相談しづらい」「相談担当者のスキルや対応力への不安」「企業意識が低い場合問題視されない」などのでデメリットもあります。そのため、匿名性・プライバシーが担保され、専門的なアドバイスを受けられる社外相談窓口を併用し、従業員が自由に選べるようにすることが最も望ましいでしょう。


  • 管理職への教育強化 リーダー層が率先して適切な行動をとることが重要です。定期的な研修の実施や、管理職のハラスメント防止に対する取り組みを人事評価に組み込む、ハラスメント行為が確認された場合厳格な処分を行うことで抑止力を強化するなど、まずリーダー層が徹底することで、職場に”ハラスメントをしてはいけない”文化が根付いていくことができます。


  • ERG(従業員リソースグループ)の導入 ERGとは、共通の趣味や、特定のスキルの獲得(e.g. クラウドの学習など)ではなく、性別や性的指向など、特性ベースで支援が必要なマイノリティグループが中心となり形成される従業員リソースグループのことを指します。ERGは共通のアイデンティティや関心を持つメンバーが集まるため、従業員が安心して意見を述べられる場を提供します。心理的安全性が高まることで、ハラスメントに関する相談や報告がしやすくなり、未然防止や早期対応などの効果が期待できます。 ERGに関する詳細はこちら >


3. まとめ

セクハラ・性加害を防ぐためには、個人の意識改革だけでなく、企業全体の取り組みが不可欠です。本研修を通じて、全社員がハラスメント防止の意識を持ち、安全な職場環境を作ることが求められます。

企業が責任を持ち、継続的な教育と適切な対応を行うことで、より働きやすい環境を実現できるでしょう。


(参考)


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