
D&Iや女性活躍推進に力を入れる企業が多い中で、”なぜ組織に多様性が必要なのか”を説明できる方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。
この内容をD&I推進者が理解し、社内全体に認知を広げておかなければ、何か施策をうった際のハレーションに繋がりかねません。
まずはここでしっかり理解しておきましょう。
【目次】
DE&Iとは
組織に多様性が必要な理由
物事の全体像を捉える
盲点を無くす
クローン錯誤による弊害をなくす
多様性の種類と組織構成
2種類のイノベーション
日常に多様性に取り入れるための3つのコト
本記事解説資料のDL(社内でご活用いただけます)
D&Iとは
ダイバーシティ&インクルージョン(以降 D&I)とは、“多様な人材を活かし、その能力が発揮できるようにする取り組み”を意味します。
ダイバーシティは直訳すると「多様性」、インクルージョンは直訳すると「受容性」です。
単に会社において人材の多様性を高めることだけを目的とするのではなく、その多様な人材が能力を発揮できる組織風土づくりを行うことまで含めた概念として、ダイバーシティ&インクルージョンという言葉が使われています。


組織に多様性が必要な理由
組織に多様性が必要な理由は、組織の集合知が上がることによるパフォーマンスの向上が、ほぼ確実に見込めることです。多様性によるパフォーマンス向上はあらゆる実験/テストで科学的に証明されています。具体的には、以下のような効果を期待できます。
物事の全体像を捉える:多角的な視点があることで、よりリアルに物事の全体像(背景/具体性/課題/解決策など含め)を捉えることができる。能力主義は間違いであり、同じバックグラウンド/能力のみを持った集団(精鋭グループ)よりも多様性のある集団が上回る。
盲点を無くす:物事を考えるとき、全ての人に必ず思考に偏り(盲点)がある。多角的な視点で、自分の盲点に気づかせてくれる人々が必要。
性/国/人種など、それぞれが持つ特性/環境によって認知の仕方が異なることで、同じ事象でも注目する“視点”が異なり、結果は多様なものとなる。
クローン錯誤による弊害をなくす:同集団はクローン錯誤(同じ思考を持つ者が優秀である/正しいと勘違いすること)が起こるが、実際はそうではない。
多様性の種類と組織構成
【多様性の種類】
多様性には大きくの2種類が存在します。一つ目は、「人口統計学的多様性」と言われるものです。 こちらは、人種、民族、性別、年齢など比較的理解がしやすい多様性を指します。 一方二つ目は、「認知的多様性」と言われ、それぞれの人が持つ物事の見方や考え方を指します。

【多様性のある組織作りのポイント】
重要なのは「認知的多様性」
人口統計学的多様性があっても、例えば同じ地域・大学・学部出身であればものの見方や考え方が似通ってくるため、別のバックグラウンドを持つ人材の方が望ましいです。
また、組織で必要な認知を持たない(無知な)人を組織に入れても多様性は上がりませんので、注意が必要です。
人口統計学的多様性を高める取り組みも必要
重要なのは「認知的多様性」が重要ですが、通常は「人口統計学的多様性」が高いと認知的多様性も高くなることが多いため、「人口統計学的多様性」を高める取り組みが必要となります。
2種類のイノベーション
専門家によれば、イノベーションは主に2つの種類があるという。一つは、特定の方向に向かって一歩ずつ前進していくタイプの「漸進型イノベーション」、もう一つは「融合型イノベーション」です。
漸新型イノベーション:ある特定の方向性に向かって、段階的にアイディアを深めていくタイプのイノベーション。
融合型イノベーション:これまで関連のなかった異分野のアイディアを融合する方法。劇的な変化をもたらすことが多い。
昨今では、イノベーションのほとんどが、全く異質のコンセプト、技術、データなどを融合して生まれています。多様性は、「イノベーション」にも大きな影響をもたらすことが明らかになっています。
例えば、以下のような事例は全て「融合型イノベーション」に該当します。
Facebook:既存のフレームワークに、デジタルネットワークの構築と情報共有を可能にする技術を組み合わせた。
Waze(ウェイズ):GPS機能とSNSなどを融合したカーナビアプリ。
ウェイモ:自動運転車の開発企業「ウェイモ」は、内燃機関、新世代のセンサー、3Dマップなどさまざまな技術を組み合わせて実験・開発。
行動経済学:心理学の概念を経済の分野に持ち込み、新たな分野。
日常に多様性を取り入れるための3つのコト
その1:「無意識のバイアス」を取り除く
無意識のバイアス(アンコシャスバイアス)は、自分では気づかないうちに持っている偏見や固定観念のことです。
世の中には、才能のある人が、人種や性別に関する無意識のバイアスによって理不尽にチャンスを奪われるケースが多々あります。
その2:陰の理事会
組織内から広く集めた有能な若手の人材が、上層部の意思決定に関して定期的に意見を述べます。
上層部にとっては、多様な意見に触れて視野を広げる「テコ入れ」の機会になります。その結果、異なる意見もスムーズに流入します。
その3:与える姿勢
自分の考えや知恵を相手と共有しようという心構えが必要です。そうした与える姿勢があって初めて、受け取る機会を得ることができます。
実際いくつかの研究において、「ギバー(与える人)」は成功をおさめやすいという結果が出ています。
(参考)
書籍 マシュー・サイド (著), 多様性の科学, ディスカヴァー・トゥエンティワン出版
(著:玉村優佳)
🔽本記事内容の解説資料DLはこちら(社内でご活用いただけます)
※これ以降はDE&I College会員様のみご閲覧いただけます。会員の方のログインはこちらから。