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全社で取り組むDE&I!推進チームに必要なメンバーとは?

更新日:9月4日


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DE&Iの推進は誰が担うべきでしょうか?

経営者のトップダウン?人事部の主導?それともCSR推進室?


どれも間違いではありますが、完全な答えとは言えません。


DE&Iを推進するには、経営アジェンダとして設定し、全社的な取り組みとして進める必要があります。文化変革は一朝一夕には成し遂げられず、時には痛みを伴うものです(Kotter, J. P. (1996). Leading Change. Harvard Business Review Press)。組織カルチャーは従業員一人ひとりが関与するものですが、全員に一斉に新しいことを課すのは逆効果になりかねません。


本記事では、DE&Iを推進する際にどの部署や役職のメンバーが関わるべきかを解説します。組織のDE&Iの進捗度、企業規模、業界、設立年数によって適切な進め方は異なります。実際の推進にあたっては、どのようなメンバーを巻き込むべきか、対話を重ねながら進めていきましょう。


ソルビスでは「社内の説得方法がわからない」「どのメンバーを巻き込めばよいかわからない」といったお悩みに対応するサービスを提供しています。個別の組織課題に寄り添いながら支援いたしますので、お気軽にご相談ください。

【目次】

  1. DE&I推進のためのチームづくり

  2. DE&Iドリームチームの特徴

  3. 義務ではなく自発的なチームがベスト

  4. 最も始めに集めるべきメンバーは”経営陣”

  5. まとめ


  1. DE&I推進のためのチームづくり


DE&Iを組織のDNAにするには、担当者一人では実現が困難です。

迅速な意思決定と効果的な施策推進のために、チームを結成し、組織的に取り組む必要があります。なぜなら、DE&I推進には多様なタスクと予算が必要になるためです。


社内への丁寧なコミュニケーションは不可欠であり、最終的には全社員がDE&Iの考えを自然に受け入れ、行動に移せるレベルを目指します。そのためには、経営企画、営業、製造、管理部門など各分野の代表者、年齢層も若手からベテラン層まで、多角的な視点を取り入れることが必要です。そういった点を踏まえ、最低限、以下のメンバーが「DE&I推進委員会」として参画することが望ましいでしょう。


DE&I推進委員会に必要なメンバー


  • 経営層のサポーター

  • 人事/HR(人材育成、採用、インナーコミュニケーション)

  • ERG(従業員リソースグループ)


ERGは日本ではまだ浸透しきっていないため、存在しない場合もあります。しかし、ERGの存在が従業員のエンゲージメントや企業のイノベーションに与える影響は多くの研究で示されています(Nishii, L. H., & Rich, R. E. (2014). Creating Inclusive Climates in Diverse Organizations. Journal of Applied Psychology)。


▼ERGについての詳細は、以下のリンクを参照してください。


上記の役割は、最低限必要なメンバーの一例です。可能であれば、現場で活躍するメンバーも参画することで、インナーコミュニケーションの面で重要な役割を果たします。ただし、チームが大きくなりすぎると意思決定が遅れるため、10人以内に収めるのが理想的です。

大企業やグローバル企業の場合 組織が全国に支社を持つ場合は、各支社ごとにチームを編成するのが望ましいです。グローバル展開している企業であれば、国ごとにチームを設けると効果的でしょう。


ERGが存在しない場合、特に注意すべき点はマイノリティグループの声を施策に反映する仕組みを確立することです。当事者を置き去りにしたDE&I推進は反発を招く可能性が高いため、従業員のヒアリングや満足度調査を活用し、継続的なデータ分析を行うことが重要です(Thomas, D. A., & Ely, R. J. (1996). Making Differences Matter: A New Paradigm for Managing Diversity. Harvard Business Review)。


  1. DE&Iドリームチームの特徴


DE&Iを推進するチームは、多様な特性を持つメンバーで構成することが望ましいです。以下の特性を持つメンバーをバランスよく配置しましょう。


  • 影響力がある

  • アクションドリブン(行動力がある)

  • ポジティブ思考

  • レジリエンスがある(困難に立ち向かう力)

  • コミュニケーションを好む

  • インクルーシブな態度を体現できる


多様性のあるチームの方がより良い意思決定を行い、パフォーマンスが向上することが示されています(Page, S. E. (2007). The Difference: How the Power of Diversity Creates Better Groups, Firms, Schools, and Societies. Princeton University Press)。


また、影響力のある人をチームに加えることも重要です。「あの人が言うなら正しい取り組みかもしれない」と思わせる力を持つメンバーがいることで、社内の理解を得やすくなります。カリスマ的リーダーシップが組織変革に与える影響も研究されています(Bass, B. M., & Avolio, B. J. (1994). Improving Organizational Effectiveness through Transformational Leadership. SAGE Publications)。


社内で影響力のある人は、経営層だけではありません。中堅マネジャーや現場の意見リーダー的存在の社員も、社内で影響力のある人材と言えるでしょう。そうすれば、トップダウンとボトムアップの双方から働きかけも可能となります。


  1. 義務ではなく自発的なチームがベスト


DE&I推進チームを結成する際、特定の属性に偏らないようにすることが重要です。たとえば、女性やワーキングマザーなどのマイノリティグループのみで構成されると、組織内での分断を招く可能性があります。チーム内のダイバーシティが担保されているか?をチェックしましょう。


経営層から最低でも1名が参加し、承認者と実行者に分かれるのではなく、階層を超えたプロジェクトとして推進することが理想的です。


DE&Iへの情熱を持ったメンバーで構成することも重要なポイントです。形式的に任命された人だけではなく、自発的に参加を希望するボランタリーなメンバーを募ることで、活動への主体性と継続性が高まります​。実際、米国企業では委員への参加を義務ではなく任意とし、意欲の高い社員を集めることが推奨されています。


日本企業でも「社内公募で集まった有志メンバー」によるD&Iプロジェクトチームを結成する例があり、こうしたメンバーは高いモチベーションで活動に貢献します。さらに、メンバーの貢献を評価に反映したり表彰する仕組みを用意すれば、より一層コミットメントを引き出すことができるでしょう。


  1. 最も始めに集めるべきメンバーは”経営陣”


DE&I推進には経営トップの理解と後押しが不可欠です。分析結果や社会動向を踏まえて経営層にビジネス上のメリットやリスク低減効果を説明し、支持を取り付けます。ポイントはDE&Iを単なる人事施策ではなく経営戦略上の課題として位置づけることです。


そのためにも、一番始めに経営陣の人材への理解を得る必要があると言えるでしょう。経営トップ自らが関与し強いメッセージを出すことで、従業員にも本気度が伝わり推進力が高まります。トップの強いコミットメントがあるか否かで、推進の成否が大きく左右されると言われています。


必要に応じて社外の専門家を招いて役員向け勉強会を開くなど、経営層の意識啓発から着手するのも有効です。


  1. まとめ


DE&Iを推進するには、組織全体を巻き込む戦略的なアプローチが必要です。専任の担当者だけでなく、経営層の支援、現場メンバーの参画、影響力のある人材の巻き込みを意識しましょう。多様な視点を取り入れながら、柔軟で持続可能なDE&I推進を目指してください。



(参考)

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